4号特例縮小に備えよう! 2025年の法改正に向けて工務店がするべきことは?

2025年4月に、建築基準法における4号特例が縮小されることが決定しました。この法改正は、建築業界に関わる人にとって大きな変化をもたらすものです。そして、工務店は改正に対応するために、改正内容を正しく把握し、準備をしておく必要があります。
今回は、法改正がもたらす変化と、工務店がするべきことについてまとめていきます。

そもそも4号特例とは?

建築基準法の4号特例とは、延べ面積500平米以下、2階以下などの条件を満たした木造住宅は、建築確認審査を受けなくても良いという法律です。つまり、日本で一般的な2階建て木造住宅は、行政機関のチェックを受けなくても、建物の安全・防火・衛生に関する支障がないと認められるということです。
4号特例は、住宅建設ラッシュの1980年代に作られた法律で、審査を簡略化することで当時のニーズに合わせた迅速な住宅供給が可能となりました。しかし耐震基準が強化された2000年代には、耐震強度偽装や設計不備によるトラブルが発生。そのため4号特例縮小法案の改正は、何度も国会で議論が繰り返されてきた問題でもあったのです。

4号特例縮小がもたらす変化

1983年制定から40年以上経つ4号特例、その縮小は、建築業界にとって大きな変化をもたらすでしょう。今までは、ほとんどの木造住宅がこの4号特例による審査省略の対象でした。しかし改正後は、延べ面積200平米以下の木造平屋を除く、全ての木造建築物において構造関連図書や省エネ関連図書の提出と保存が義務付けられます。

工務店がするべきことは…

4号特例の縮小に伴い、300平米以下の2階建て住宅においても、今まで簡略化されていた構造関連図書の作成や許容応力度計算の提出が必須になります。これは、耐震基準の見直しや省エネ住宅の普及に伴う重量化により壁量増加が必要と考えられているからです。
作成した図書は保存が義務付けられるため、壁量計算書や構造図など保存義務がある書類を図書化する作業プロセスを構築しておくことが重要となります。
また、許容応力度計算は専門的な知識と経験が必要な作業です。書類作成なども含め、今までよりも作業工数は増加するでしょう。必要に応じて、人員の育成や設計者の雇用、外注も視野に入れ、建築スケジュールに影響を及ぼさないように、事前に備えておく必要があります。

4号特例縮小はメリットも多い!

4号特例縮小によって、工務店の業務量は増加するでしょう。しかし、基準に則った構造により行政からの認可を受けられる点や、高い耐震性能の建物を建築できる点はメリットにもつながります。
地震の多い日本では、住宅の安全性は重要な項目です。各地での震災の影響もあり、耐震性能に関心を持つ人も多くなってきています。こういった状況下での「法令を遵守した構造設計の住宅提供」は、施主様の安心感、そして工務店に対する信頼につながるのです。4号特例の縮小に対応した結果、木造住宅の信頼感は増し、業界全体のイメージが向上する可能性も考えられるでしょう。

ここまで、4号特例の縮小による変化と工務店がするべきことについて解説してきました。法改正では、木造建築の構造の見直しや、必要書類の図書化・保存が義務付けられることになります。
40年以上もの間、ほとんどの木造住宅は4号特例の対象であったため、今回の法改正で、工務店は今までよりも対応が増え、業務量が増加する可能性があります。しかし、地震大国である日本において、法令を遵守し耐震性能が担保された住宅の増加は、人々の命を守ることに直結します。
改正適応直前に慌てないように、今のうちから法改正の内容を確認し、2025年4月に迫る4号特例縮小に伴う対応にしっかり備えていきましょう。

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