住宅を建てるなら「木造」と「非木造」のどちらが良い? 内閣府の世論調査で、全体の約7割が選んだのは…

内閣府が令和5年度の「森林と生活に関する世論調査」の結果を公表しました。
住宅について「木造」「非木造」のどちらを選ぶかを尋ねたところ、全体の約7割が「木造戸建て」を選択。建物の木材利用に対する意識が高まっていることが分かりました。
今回は、木造が支持されている理由について、公表されたデータをもとに解説します。

「木造」「非木造」どちらを選ぶ?

内閣府は令和5年10月、全国の18歳以上の日本国民3,000人を対象に、森林と生活に関する意識の調査を実施しました。
木材の住宅利用に関する質問で、木造と非木造のどちらを選ぶかを尋ねた項目では、有効回答のうち全体の48.2%が「在来工法の木造戸建て住宅」と回答。「在来工法以外の木造戸建て住宅」「木造によるマンションなど集合住宅」を含めると、木造を選ぶと回答した人は69%を超えました。
住宅への木材利用について世間の関心や意識が高まっていることが分かる結果となり、今後ますます木造住宅の需要の高まりが期待されています。

非木造住宅を選んだ理由

木造住宅を選ぶという声が7割を占める一方、非木造住宅を選ぶと回答した方の理由の上位3位は
「地震に強い印象があるため」
「火に強い印象があるため」
「遮音性が高い印象があるため」でした。
このように、木造の建物は鉄筋コンクリート造に比べて地震や火事に弱いというイメージを持つ方もいますが、実は耐震性・防火性に優れています。
木造建物は、鉄骨や鉄筋コンクリートの建物と比較して軽量であるため地震の揺れの影響を受けにくく、木材のしなやかさにより揺れを逃しやすいという性質があります。また、木材は燃えると炭化して火が燃え進むのを防ぐため、防火性にも優れた素材です。
木造が弱いとされている遮音性についても、現在では優れた防音資材の使用と木造建築技術の向上により、高い遮音性を備えた木造住宅の建築も十分可能となっています。

木材利用の期待が高まっている!

「どのような施設に木材が利用されることを期待しますか」という質問では、
第1位が幼稚園や保育所・認定こども園や、小・中学校などの教育施設
第2位が旅館、ホテルなどの宿泊施設
第3位が公共のスポーツ施設、図書館、公民館等の社会教育施設 となりました。
木材の特長である適度な調湿性や木の香りが快適な空間を作り、リラックス効果をもたらすと言われています。また、木材は衝撃を吸収する作用があり、転倒時に大けがをするリスクを軽減できるため、子どもが利用する施設やスポーツ施設など多くの方が利用する場にふさわしい素材であると言えるでしょう。

木材利用について世間の関心は高い!

店舗やオフィスビル、ホテルなど住宅以外の建物への木材利用については、
「気持ちが落ち着く、快適そうなど良い印象を持つと思う」が73.8%、
「環境意識が高いと思う」が33.3%、
「木材が利用された店舗などがもっと増えてほしいと思う」が28.3%
となりました。木材が持つ癒しの効果に好意的な意見を持つ方が多いことや、世間の環境問題への関心も高まっていることが分かります。
環境への取り組みとして日本は、2030年までに温室効果ガスの46%削減を、2050年には実質の二酸化炭素排出量をゼロにするカーボンニュートラルを目標に掲げています。これに伴い、木材利用を促進する法律の改正が行われる等、建築業界においても環境問題への取り組みが見直されています。
国が木材利用を進めるのは、木の炭素固定の性質と、二酸化炭素の排出量が少ないことが理由です。木には光合成によって二酸化炭素を取り込んで貯蔵する性質があり、その際に取り込まれた炭素は、木材になっても固定されたままになります。よって木製品が増えると、大気中の二酸化炭素削減に繋がるのです。また、木は鉄やコンクリートよりも製造や加工に必要なエネルギーが少なく、二酸化炭素の排出削減にも繋がります。

内閣府が発表した「森林と生活に関する世論調査」では、約69%もの方が木造住宅を選択。その理由として主に心理面の効果や、環境問題への貢献が挙げられていることが分かりました。
木造住宅は木の持つ性質により、心地よく快適な空間を作るだけでなく、二酸化炭素の排出を抑制し地球温暖化防止にも貢献します。中には、木造は地震や火災に弱いというイメージを持つ方もいますが、実は耐震性・防火性に優れた建築物であるということも伝えていきたいポイントです。
人々の木材利用についての意識が高まっている今こそ、より多くの方に木造住宅の魅力を知っていただくチャンスでしょう。

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