筋かい(筋交い)とは?筋かいの役割と壁倍率について解説
近年まで筋かいの設置は設計者や施工者の判断に委ねられていました。
1995年の阪神淡路大震災で倒壊した木造住宅の多くは、筋かいに関わる問題があったといわれています。今回は、耐震に欠かせない筋かい(筋交い)の役割と壁倍率についてご説明します。
【筋かいの役割】
筋交」 や「筋違い」とも表記される筋かいは、柱と柱の間に取り付ける補強材です。筋かいの歴史は古く、法隆寺や姫路城でも採用されていました。この筋かいを柱と横架材で囲まれた四角形の対角線上に固定することで、水平方向の力への強度が増し、暴風や地震などの揺れに対する耐久性を高めることができます。施工方法は、斜めに1本のみ取り付ける場合(シングル)と2本を交差させる場合(ダブル)の2種類。建築基準法施行令第45条では、「筋かいは、その端部を、柱と梁その他の横架材との仕口に接近して、ボルト、かすがい、くぎその他の金物で緊結しなければならない。」と規定されています。
【筋かいの壁倍率】
壁倍率とは、筋かいを施工した際にどの程度壁の強度が増したかを表す数値です。例えば、施工前の壁に2.0KNの力をかけたときに変形した面積と、施工後の壁に6.0KNの力をかけて変形した面積が同じであれば、施工後は3倍の壁倍率を持っているといえます。壁倍率が高いほど、壁の強度も高いということです。筋かい材のサイズによって壁倍率は大きく変わってくるため、それぞれの壁倍率に適した筋かい金物を選びましょう。具体的なサイズと壁倍率の関係は以下のようになっています。
・30×90(三ツ割):壁倍率1.5倍筋かい
・45×90(二ツ割) :壁倍率2倍筋かい
・90×90:壁倍率3倍筋かい
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